エンジェル・メイカー 著者ジェシカ・グレグソン

〜裏表紙に書いてあったあらすじより〜

第1次世界大戦も終わりかけた、ハンガリーの片田舎ファルチカ。
前線から生還した村の男たちが次々に殺される。死因は毒。
手を下したのはその妻たち。
手引きしたのは、魔女と呼れる村の助産婦シャーリー。
−なぜ女たちは夫を殺さねばならなかったのか?
この村に隠されたある秘密とは!?
「ナジレーヴのエンジェル・メイカー殺人事件」と呼ばれる実話をもとに凶器の連鎖に堕ちてゆく村を書き出した衝撃のサスペンス。

「実話をもとに」という最後の一言が気になった。
実話をもとにしているのなら、サスペンスとしては物足りないかもしれないな〜と思ったけど、やはり、実話というのが気になる。

読み始めて、ぞくぞくしてきた。
普段、身近に感じることのない「ハンガリー」の片田舎が舞台というのが
私にとっては、新鮮だった。
そして何より、主人公が魅力的だ。
時代も場所もジェンダーの思想からは程遠いところにあるはずなのに、
ゆるぎないジェンダーの視点を根底にすえて物語りはすすんでいく。
そのことがとっても不思議だったので、著者のプロフィールまで読んでしまった。(普段、私は著者に興味は持ちません)

ジェシカ・グレグソン  1978年、ロンドン生まれ。
ケンブリッジ大学卒。内務省に政策アドバイザーとして勤める傍ら、
デビュー作となる本書を執筆。同時に、スーダン南部で
人道支援要員として、難民救済活動にも従事する。
現在はロンドン在住。
今後もヒストリカル・フィクションを書く予定。

納得です。

イギリスのTV番組などを見ていると、さりげなくフェミニストたちの
日常の苦悩や葛藤が描かれていて、とても共感できることが多い。
声高に「男女同権」「男女平等」を叫ぶのは簡単だ。
しかし、意識の高い女性ほど、理想と現実のギャップの激しさに
打ちのめされそうな日々を送っている。

ジェシカ・グレグソンというこの若い作家の作品に期待していきたい。


ところで、実話のほう!
ナジレーヴのエンジェル・メイカー殺人事件
事件はブダペストの南東100キロほどのところにある、ティサ川沿いの
ナジレーヴという小さな村で起こった。1914年から29年の15年あまりの間に、約300人もの村人が砒素によって毒殺されたのだ。
犯人は村の助産婦に手引きされた女たちの集団で、
その数は50名にも及んだという。


小説より、事実のほうがはるかに異常ですさまじい!

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