人身事故

新幹線で東京から帰ってきて広島に着いたのが19:40頃。
在来線に乗り換える。
19:49広島発、岩国行き。私は西広島で降りてそこからバスに乗り換える。

車内アナウンスがあったのは広島の次の駅、横川駅停車中。
たどたどしいさっぱり要領を得ないアナウンスだ。
「人身事故が・・・ただいま・あ・あ・しばらく止まります・・・え・人身事故がありました。」
乗客同士顔を見合わせる。

人身事故なら時間がかかるだろう。場合によってはここで降りてバスに乗り換えたほうがいいかも・・・そんなことを考えていたら、電車は動き出した。よかった、と思ったのもつかの間、再び、要領を得ないアナウンスが始まった。
「人身事故で・・・次の西広島で止まります。」
一応、西広島までは行くようだ。
私はもともと西広島で降りるので問題ない。

私の前に座っていた男性がぶつぶつ言い始めた。
「こんな時間にどうすりゃいいんだ」
「どちらまで?」
「岩国なんですよ」
「はぁ〜、広島まで戻って新幹線に乗り換えたほうがいいかもしれないですよね」
「今、大阪から新幹線で帰ってきたところですよ!」

私はその男性に、「お先に」と、声をかけ改札を出た。

出たんだけど、気になる。
何のアナウンスもないのだ。時刻は8時をちょっとすぎたところ。
4分遅れで西広島に到着したが、そこから先は動きそうにない。
せめてこうアナウンスしてほしい。
「ただいま どこで 人身事故が発生しましたので、列車はこの西広島駅で停車します。ただいま情報を確認中ですので、確認次第、対応をお知らせいたします。お急ぎのところご迷惑をおかけしますが、しばらくお待ちください。」

まったく、アナウンスがないのだ。
車内はもちろんのこと、駅構内にもアナウンスはない。
だから、何も知らない客が切符を買って乗り込んでくるのだ。
駅員の姿も見えない。やっと改札に一人出てきたが、質問してくる乗客一人ひとりに、個別に要領の得ない回答をしている。

おせっかいとは思ったが、とりあえずは、改札の中に入ろうとする人達に「今、電車は止まっていますよ。JR以外の手段をとられたほうがいいですよ」と、声をかけた。

駅員の小声に耳を澄ますと、新井口で事故が起きたという。

ならば、広電に乗り換えていけばいい。
駅員が一人でなにやら発券している。
多数の乗客だが、みんな静かに改札口に列を作って発券してもらっている。

私もおせっかいはやめてバス乗り場に向かった。
バス乗り場までは広電の駅を通り抜けるのが近道だ。
広電の駅に来てびっくりした。
駅構内に大きな音量でアナウンスが流れている。
「高須の踏み切りのJR線で人身事故が起きたため、これより運行を中止します。」

何と、広電も運行中止だ。
しかも、事故の起きた場所は井口ではなく高須。
広島に住んでいる人なら知っているだろうけど、西広島から宮島口まではJRと広電が並行して走っている。場所によっては二つの路線が隣同士を走っていて、踏切が共有されている場所が何箇所もある。

広電では構内アナウンスで乗客に情報を知らせ、対応に動き始めていた。そこへ、JRから乗り換えチケットを発券してもらった人達がぞろぞろとやってき始めたのだ。
広電も止まっているときいて、その人達は怒り始めるのだが、広電の駅員は目を白黒させているばかり。

は〜、またもやおせっかいを焼いてしまった。
「広電さん!JRの駅員さんと連絡を取り合ってください!
 JRは、お客様を広電へ誘導していますよ!」
駅員は飛び上がって電話口へ走っていく。


今日は日曜の夜で、平日に比べ乗客は少なかった。
乗客はみなおとなしく、整然としていた。
こういう光景を見ると、日本人のすごさを感じる。
集団が乱れることなく、騒ぐことなく、指示に従う。
それが一番、混乱を起こさずにスムーズに問題は解決される。


ところで、
JRの対応のまずさは一体どうしたことだろう?
危機管理以前の問題だ。
乗客の誘導どころか、情報の確認、情報を伝えることさえできない。
だから、対応策も打てない。
これでもし事故が起きたらと思うと恐ろしくなる。
職員の質の低下は民営化されてからなのだろうか?
そういえば、尼崎での大事故が起きたとき、労働管理について
問題にされていた。
今日の事故の顛末を見ていると、職員の質の低下はかなり深刻だと思う。




TVドラマ「スキャンダル」を見ていたら、
運転再開のテロップが流れました。21:28
岩国の方、さぞやお疲れになったことでしょう。
本当に、皆さまお疲れ様でした。



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