少年犯罪は減っている

昨今、少年の凶悪犯罪が増えたということで、少年法を厳罰化すべきとの風潮が高まった。
実際、2000年には少年法は「改正」された。
そして今回の光市母子殺害事件の死刑判決によって、厳罰化の流れはさらに強まったといえるだろう。

ところで、厳罰化の流れの根拠は何なのだろう。
マスコミが煽るので、一般的に、少年の凶悪犯罪は増えていると思い込まれているようだ。

しかし、意外かもしれないが、少年犯罪は減ってきている。

未成年の殺人犯検挙人数は1970年あたりを境に激減してきている。これは人数だけでなく、少年人口10万人あたりの比率についても同様なのだ。
海外と比較しても、日本の少年の殺人率はかなり低い。

犯罪データの数字から考えると、厳罰化に向かう理由がわからない。
「改正」前の少年法は、犯罪を犯した少年に罪を償わせると同時に、更生させることも目的としていたのだ。
(そのせいで、犯罪被害者救済が手薄になっていたのも事実)
少年を更生させようという法の精神があったからこそ、社会もそれを受け入れ、総体として少年の凶悪犯罪が減ってきた・・・・
という推論もできる。

さて、なぜ厳罰化に向かうのか?
従来の判例からすると、今回の光市母子殺人事件で死刑判決が出たのは・・・・・私には奇怪な出来事にしか思えない。
日本中に本村さんが溢れていた。
あの人もこの人も、みんな本村さんになっていた。
誰もが我が妻と娘をこの被告に殺されたと感じていた。
本村さんの感情がそのまま世論となり、死刑という判決を
導き出してしまった。


被告が殺人を犯したのは18歳と1ヶ月。
ちょうど同じ頃、17歳の少年が包丁を持ってバスジャック事件を起こし、一人を殺害、4人に重症を負わせた。
別の17歳の少年は人を殺してみたかったと言って、老女を包丁でメッタ刺にして殺した。
二人には殺意は明らかにあったし、計画的でもあった。

この二人の少年に比べて、母子殺害被告の殺意、計画性は裁判でも争点になったくらいだから、「明らかだ」とは言いがたい。

なぜ、光市母子殺害犯人ばかりが凶悪犯とされるのだろう。
もちろん、凶悪な犯罪であることに間違いはないが、彼を死刑とするならば、これからは死刑判決がどんどん出てきそうだ。

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