*[日記]彼岸花

街中にいると季節の移り変わりに鈍感になりそうだ。
私は毎週1回湯来町へ行っているが、季節の変化にハッとなることが
度々ある。

今日気づいたのは彼岸花
そういえば、もうすぐお彼岸だ。




濃い緑の中で一際あでやかな赤い花。
私の好きな花だが、
子どもの頃は近づいて見ることはなかった。

我が家では彼岸花のことを「かぶれの花」と呼んでいた。
肌の弱かった私は山に入るたびブヨブヨにかぶれていた。
山には「かぶれの木」があった。
実際、彼岸花でかぶれたことがあるのかどうかはわからないが、
「かぶれの花」という名前が怖かった。
だから、「かぶれの花」に近づくことはなかった。
どうしても近くを通らなければならないときは全力で走り抜けていた。

彼岸花という名称を知ったのは、山に入ってもかぶれなくなった
小学校の高学年の頃。
夏の間水泳に明け暮れる日々を送り、知らぬ間に体力がつき、
皮膚も丈夫になったようだ。
「かぶれの花」と呼ぶのは変だ、と気づいた。

17歳の頃、中原中也の詩集に夢中になった。
そのとき、目が釘付けになった言葉がある。
曼珠沙華
あの花の名前にぴったりだ。
曼珠沙華」という字面から、イメージがどんどん広がる。
花の姿と「曼珠沙華」の字面が17歳の頃の
大人へと脱皮しようともがく自分と重なった。


今は、普通に「彼岸花」と呼んでいる。
季節を教えてくれる花だ。
車を止め、シャッターを押してみた。




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