文明の利器

昨年、広島県内を隈なく走り回った。(もちろん車で)
山の中はなるべく避けて走りたかったが、広島県はほとんどが山間地。
選挙だったので、とにかく人のいそうなところを走りたかったが、
人がたくさんいる所なんて都市部だけ。
人がいるかどうかわからないが、民家を目指して走っていた。

あるとき気付いた。
レトロな町並みがたくさんある。
今まで、田舎だとばかり思っていたのに、古風で趣のある町並みが多い。
だが、過疎。
過疎といえば、農村、田舎、僻地、・・・。
しかし農村ではなく、町並みなのだ。少し走ると現れる町並み。
またしばらく走ると別の町並みが現れる。
しかも、それらの町並みすべてが・・・何と表現したらいいのだろう。
過疎、すたれている、ひっそりしている、
何十年か前までは人の往来もあり、賑わっていたであろう、そんな面影を
残しているのだ。
どうしてこんなに寂れてしまったのだろう?

そんなことを思いながら町並みを眺めていた・・・〜あ〜っ!
「ちょっとっ〜!向こうの通りを走ってよ!こっちの道には民家がないじゃない!」
「あ〜〜、ごめん!バイパスはいっちゃった!」

古い町並みを避けるように新しいバイパスは造られる。
運転者は無意識のうちに走りやすいバイパスへ入ってしまうのだ。

そうか、道路と車なんだ。
車がなかった頃の旅はどうだっただろう。
人の足で1日に歩ける距離ってどのくらいだろう。
夜を山の中ですごすわけにはいかないから、夕暮れには宿を探さなきゃいけない。
となると、人の足で1日歩ける距離ごとに宿場町が必要になってくる。
3,40キロごとに、だろうか?
すると、かなりの町ができてくることになる。

車での移動だと3,40キロなんて1時間もかからない。
目的地まで休憩することなくすっ飛ばしていける。
人の足で1日に移動できる距離ごとにあった町は必要なくなる。
車社会が小さな町の荒廃を招いてしまったのかな、と思う。
(それだけが理由ではないでしょうが)


ところで、ところで、
衛星ブロードバンドは過疎地や田舎でも使える。
いえ、逆に過疎地や田舎こそ、必要とする文明の利器かもしれません。
山奥の湯来町で衛星ブロードバンドの実験が行なわれますが、
いろいろな可能性にチャレンジできるといいですね。


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